中元孝迪理事長

日頃から、当財団の活動につきまして、市民の皆様はもとより多くの文化人・文化団体の皆様、関係者各位にご協力、ご支援をいただいておりますことを、厚く御礼申し上げます。
平成元年に創立した当財団は、前身である財団法人姫路市文化センター及び財団法人姫路市民文化協会の理念を受け継ぎ、また、平成22年に統合した財団法人姫路市国際交流協会の国際交流事業を継承し、姫路市独自の文化の高揚と育成、加えて地域ぐるみの国際交流の推進に努めてまいりました。
現在、文化庁では、日本文化の魅力を発信する事業を推進する「ビヨンド2020文化プログラム」を全国に展開しています。また、平成31年4月には改正入国管理法が施行され、将来的により多くの外国人が日本を訪れることが想定されております。
姫路市におきましても、平成27年に「姫路市文化振興ビジョン」、平成29年に「姫路市国際化推進プラン」が策定されました。
これらを受けて、令和を迎えた姫路市が、より文化的に醸成すると共に多文化共生社会を実現するため、未来につながる「レガシー」を創出し、姫路の魅力を全国及び世界へ発信する役割を果たすべく、一層の努力を重ねてまいる所存でございます。
今後とも、皆様のご理解とご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願いいたします。
池辺晋一郎芸術監督

「交響詩ひめじ」を作曲・初演したのは、1989年。姫路市制施行100周年を記念しての依頼だったが、その時は寡聞にして知らなかった──当財団の誕生は同じ年だったのだ。以来、この曲を課題曲とする合唱コンクールが毎年2月につづけられてきた。同様に市制のアニヴァーサリーに関わる曲を全国何カ所かで作曲したが、このような活用はここ姫路市だけである。さらに、毎年5月の「姫路パルナソス音楽コンクール」。これらの事業にかかわって、今や姫路は僕にとって極めて親しい場所になっている。
それゆえに、想う。国宝にして世界遺産の姫路城、そして書写山圓教寺……この街の人たちは、歴史の深さをベースに文学や美術、音楽など広範な文化に、また祭りや季節の行事に、ごく自然に触れ、親しんでいる、と。この街での文化国際交流財団の仕事は、したがって、文化を「立ち上げる」ことではない。市民の間に深く根づいている文化を「さらに耕し、育てる」ことなのだ。と、現在当財団芸術監督をお引き受けしている僕は理解している。
僕は目下、隣接する加古川出身の作家・玉岡かおるさんの書き下ろしの原作を得て、オペラを作曲しているが、これは建設中のホールのこけら落としのため。姫路のさまざまな文化がさらに育ち、市民の間に豊穣な果実の香りがごく自然にただようさまを、僕は信じている。