だから僕はとにかく、自分のオリジナル曲で音楽を創っていこうと、それがデビューからずーっとやってきたことです。それは先輩、ゲイリー・バートン(注:アメリカのヴィブラフォン奏者)に教わったんです。
ただ、オリジナルが「あの曲に似てるね」と言われることはあったりします。モノをつくる、創作していくということは、言葉を覚えるのと同じで、必ず最初に模倣がある。模倣がないところからは絶対に生まれないんですよ。絶対に。コピーを自分のものとするのはダメですけど、影響を受けることはすごく大事です。
若い才能を世界に紹介するプロジェクト「From OZONE till Dawn」を立ち上げたんですが、彼らには「とにかくオリジナルを創れ」と伝えています。それがいまのジャズにいちばん足りないんだ、自分の音楽を創ってジャズ界に残していけ、ちゃんと音楽を捧げなさい、って。
オリジナルを弾くっていうのは、他に比較するものがないっていう良さもあるんです。スタンダードには名演奏が残っていて、弾くときにどうしても意識してしまいますし。でも、自分の音楽で、自分で演奏して、お客さんに「NO」と言われると、もう逃げ場がないですよね(笑)。自分の音楽を魅力的な曲にする、それが難しいんですよ。